ビクセンやビクセンユーザが気づかないこと2012年08月09日 18時28分56秒

ビクセンGP赤道儀を勉強のために入手してモータードライブの開発の実験もさせてもらいました。
いろいろと発見がありますが、その発見した情報をビクセンの説明書やビクセンユーザの情報発信の中身で見たことがありません。何で気づかないんだ、というようなことです。

以下、気づいたこと。

1.ビクセンのギアのバックラッシュ調整はあまり意味がない。


バックラッシュを少なくするためにウォームギアや平ギアの当たりの調整を勧めるような記事がいろんなところにあります。固めの調整をしてモータのトルクを上げたほうが良いという情報も。※(2013年7月15日追記。日本語難しいですね。上記、固めの調整をして・・・という件の文章表現変更します)「固めの調整をした上で、トルクの高いモーターに交換することを勧めたり、平ギアの交換をして減速比を上げてトルクを上げることを勧めたりするようなめんどくさいことを勧める内容のブログの記事すらあります」

でもね、日本パルスモータ製のギアードステッピングモータの出力軸に既に遊びがかなりあるわけです。平ギアつけて手で回してみるとすぐわかります。
この点に着目している情報を見たことがないんですね。
ウォームギアや平ギアの調整はあまりシビアにやっても無駄なだけです。逆にウォーム軸とウォームホイルの当たりは軽めにしてウォーム軸の回転を軽めにしたほうが結果は良いのではないかと個人的には思うところ。赤緯軸なんかは特に。軸側のグリスがからからでぱりぱりになったSP赤道儀を分解した経験からはこんな結論になります。

結論:自分でオーバーホールしてグリスをモリブデン系に換えられない人は全て、調整するなら遊びは多めにして軽めに調整した方が良いと思います。モータの駆動的には絶対に安定します。でも多分こんな情報発信はここだけ。

2.MT-1モータのトルクは必要十分

DCモータの場合にトルクアップのために平ギアのギア比を変えるような記事があるので勘違いする人もいるかもしれないけど、MT-1モータで使っている日本パルスモータ製のステッピングモータのトルクはMT-1モータ用のビクセンのコントローラで使う限りは必要以上に高トルクです。
相当たり300mA程度流れますので16倍速でも脱調しない程度のトルクは確保できています。
もし脱調するならバックラッシュ以前に極軸などの回転が渋すぎる可能性があります。微動が手動でできることが最低条件です。多分バックラッシュ調整と称して回転が渋くなるまでの調整をしてステッピングモータが脱調するような状態で無理に使っているとモータに内蔵されたギアが壊れる可能性もあります。

なお、自作のコントローラのMT-1対応では相当たり12V電源で100mAしか流しません。これでも十分にトルクは確保できていました。但し、グリスの良くないビクセンで冬場が持つかどうかは今後の実験によります。きつめな調整の赤緯軸で今後は試すことになるでしょう。※ビクセンのGP赤道儀極軸体は今後は使わないので。

3.目盛環の使い方をビクセンというメーカは理解していない(と思われる)

目盛環は赤経軸の場合、緩めて回転できて、締め付けて極軸と連動できるようにならないといけないのですが、そもそもGP赤道儀の構造はそうなっていません。私の記憶が確かならSP赤道儀は問題なかったはずです。

まともな製品の赤経目盛環ならば目盛環側にローレットネジがあり、ネジを締め付けると極軸側との摩擦で極軸に同期して回るようになります。そしてネジを緩めたら目盛を任意の座標位置に合わせられるようになっています。

ところが、GP赤道儀の赤経目盛環の固定用のネジは目盛環側ではなく極軸の外側のフレームについています。非稼動部に目盛環を固定してどうしたいのでしょうか。
しかもそれだけではなく、目盛環固定ネジを締め付けると目盛環が傾いてフレームに固定されるので極軸に余計なテンションをかけてクランプと同じように回転が渋くなります。

上記の渋くなった状態で正規の赤経クランプを緩めても360度以上極軸は回転できなくなります。
こんな状態で、もし使っている人がいるとするとモータードライブで追尾できるはずがありません。いろんなGP赤道儀のトラブルは結構こんなところにあるような気がします。

以下はGP赤道儀を上から見たところです。わざと目盛環をはずす方向にずらしています。上のローレットネジが「赤経目盛環固定ネジ」。ビクセンの説明書ではネジで固定しろと書いてありますけど使うときには緩めろとは書いてありません。


極軸望遠鏡をはずして目盛環も極軸からはずしたところ。単純にグリスの粘度があるだけで何の仕組みもない構造です。フレームにねじ切ってどうするというのでしょう。

極軸望遠鏡の調整時に赤経座標0時0分部分に固定するのは極軸望遠鏡の時角を合わせるときだけの話。通常運用時にはそんなところで固定してはいけません。してはいけないことをしてはいけないと書いていない取扱説明書しかないということで、ビクセンは頭がおかしいと思います。この件に関してだけは60mmで500倍の望遠鏡売ってるような粗悪メーカと大差ないです。

この記事の冒頭の写真での状態は実は赤経目盛環固定ネジ締め付けちゃってます。自作コントローラのテストの時です。危ない危ない。ネジが緩んでいると締め付けたくなる人は結構いるでしょう。ビクセンの目盛環部分のネジは締め付けたら追尾に失敗したり最悪の場合はモーターを壊す可能性が高くなりますので注意しましょう。

コメント

_ からさん ― 2013年06月03日 17時31分20秒

始めまして。
激しく同感です。
私はGP赤道儀のコピーらしいAdvanced GTを使っていますが、目盛固定ネジを締めっぱなしにしてて、赤経が引っかかるのでおかしいと思っていました。
その昔小学生の時ニューポラリス赤道儀の極軸合わせが説明不足で判らず、諦めた苦い経験もあります。
ビクセンほどの企業で、この説明不足に気づく人は居ないのでしょうかね?

_ テクラム ― 2013年07月06日 09時26分24秒

はじめまして。通りすがりの天文屋です。 
「固めの調整をしてモータのトルクを上げたほうが良いという情報も。」

 少しここが理解できないのですが、固めの調整をしたら逆に有効トルクは落ちませんか? 動きが固くなるほどのギヤ調整をした段階で機械としてはNGなのですが。 逆に適正範囲外のアソビがある機械など論外ですけども。

赤道儀のバックラッシ調整についてはおそらく着目点が違うと思います。 野外で写真などで使う場合、風の影響を受けにくくする目的や、ガイド俊敏性を狙ったものではないでしょうか。 「固め」の調整をするのであればギヤではなく軸そのもののプリロードを調整すべきです。 当然ながらベアリング(樹脂ベアリングも含む)のプリロードも重要です。  GPで冬場モーターのトルク不足を感じるのであればそれはグリスが固くなる事が主原因ですので指摘されているのは当を得ているのですが、それとギヤのアソビは別の問題です。

  それ以前にMT-1モーターは減速ギヤヘッド自体のアソビが大きすぎるのであそこは改善を願いたいところだと感じています。

_ hoo- ― 2015年05月30日 21時51分18秒

今更ですがコメントさせて頂きます。
>3.目盛環の使い方をビクセンというメーカは理解していない(と思われる)
は言い過ぎではないでしょうか?
この目盛環は極軸をセットする目盛環で赤経目盛環ではありません。0時が真上になるように固定して使うものです。ビクセンの説明不足は否めませんが。

_ 本人 ― 2015年06月01日 23時37分31秒

なるほど、ビクセンの赤道儀の目盛環って赤経目盛環ではなかったのですね、とコメントしようと思ったのですが、改めて検索してみると部品名としては「GP赤経目盛環」となっているので言い過ぎとは全く思いません。

_ 通りすがり ― 2015年12月20日 21時38分59秒

聞いた話ですがこの古いGP赤道儀はアメリカの会社?のOEMらしいです。ホントかどうかはわかりませんが。一番新しいビクセン開発のAP赤道儀には目盛環すらついてませんねwwどっちがいいのかわかりませんが・・・ビクセンって何百・何千の従業員かと思ったら50人ぐらいしかいないんですね。知りませんでした。

_ きよりん ― 2017年04月15日 20時35分38秒

ビクセンの GPD2 を持ってますが、マニュアルに、極軸をあわせて
観測をはじめる時は必ずネジをゆるめること、との記述がありますよ。

_ (未記入) ― 2017年04月17日 23時07分02秒

きよりんさん。GP2の説明書にはゆるめるように書いてあるということですね。ありがとうございます。

_ 遅れてきた遅刻人 ― 2017年10月29日 16時30分09秒

ものすごく今さらですが。
初代のGP持ってますが、きよりんさんのおっしゃるGPD2と同じく、GPのマニュアルにも極軸を合わせたあと必ず緩めるようにしっかりと書いてありますよ。

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