ライセンスフィーしか考えないメーカの存在 ― 2007年05月20日 22時09分01秒
ESECでとあるPC周辺機器を開発するメーカと商談する機会がありました。
商談の相手は企画部署の責任者で、そのメーカには自社にソフトウェアの開発を管理する人間を置いていません。そのため、この企画部署の責任者が外注のソフトウェア開発会社のコントロールを行ってきたようです。
そこで分かったのは「まだまだ知らない文化の存在」です。
この担当者。いわゆるソフトウェアの「受託開発」という契約形態を異質なものとして受け入れていません。
ある機器に機能を追加するためにはハードウェアを追加しない場合はソフトウェアで機能を追加する必要がありますが、この担当者は開発費を考えていません。機器1台あたりのソフトウェアのライセンスフィーがいくらか、という考え方しかしないのです。1台の機器にそのソフトウェアを追加すると100円とか。1000台の機器が売れれば10万円ということです。仮に開発費に200万かかったとしても10万円は変わりません。 2万台売れれば元が取れて、それ以上売れればかなりの儲けにはなります。
但し、このようなライセンスフィーの考え方の場合は台数によって単価が変わりますので、台数が多ければディスカウントが必要になりますので、単純に儲けがでるわけでもありません。
もちろん、ライセンスフィーですからソフトウェアのソースコードを提供する必要はありません。逆にきちんとしたバイナリのインストール手順が必要です。その機器のソフトウェアの開発を全体的に行っているのであれば何の問題もありませんが、実はこのようなことは意外とむずかしい。つまり、その機能を追加する担当のソフトウェア開発会社以外の会社の開発物も同様にソースコードが提供されず、仕様書すらまともかどうか分からないわけですから。
個人的にはこのような機器メーカの考え方は正しいようで間違っていると思います。逆の立場で全く物事を考えていないからです。その機器に対応するための開発環境整備には意外と金がかかりますし、目的の機能を追加する以前に全体の把握も必要です。そのような初期費用を請求できないのだとすると、誰も望んでこのようなメーカの開発は請けないでしょう。私も請けません。
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