変わり映えしないESEC ― 2007年05月19日 08時17分21秒
ESEC、組込みシステム開発技術展に行ってきました。
去年は3日間の開催期間全てに行きましたが、今年は最終日のみ見学しました。
結論から言えば、ほとんど見るべきものがない。 というか、何を誰に見て欲しいのかを端的に表した展示をしている会社がほとんどない。つまり、マーケティングの必然として展示会に参加している会社がほとんどない、という言い方もできます。
この展示会は全体としては誰に対して展示しているのかというと、何らかのメーカをターゲットにしています。
展示している会社はチップメーカ、基板メーカ、アセンブリメーカ、機器メーカ、デバッグ機器メーカ、半導体商社、機器商社、ソフトウェア開発ツールメーカ、ソフトウェア商社、基本ソフトメーカ、などなど・・・多岐に渡ります。
メーカが自分たちが抱えている案件で適用できるチップやツールを探しに行くため、現物に触れることができる、ということが展示会を開催する大きな意味であると思います。
であれば、それぞれの展示会社のターゲットは最初から決まっているわけで、不特定多数に漠然としたメッセージを投げかけるような展示は無意味です。
そんな中で一目で目的がわかるのは技術誌を出版している会社ですね。単に本を売りたいという目的がはっきりしているし、ターゲットもメーカではなく、展示会に訪れた技術に関心のある人全て、ですから。
一番意味不明な展示が、いわゆる、映像関連の機器を使って、映像を流すような展示です。 確かに見た目は分かりやすいですが、何屋さんなのかは分からない。
- 映像コンテンツのデコーダチップのメーカ?
- デコーダチップを使ったソフトウェアを開発したメーカ?
- それを内蔵した機器のメーカ?
- その機器を販売する商社?
- コンテンツを提供するシステムを開発するシステムインテグレータ?
- 映像コンテンツを伝送するための通信機器のメーカ?
- 伝送チップのメーカ?
そしてそういう分かりやすい展示に限って、関係ない客で賑わってしまって、肝心の本当のターゲットとなる客に十分な説明が出来ず、きちんとメッセージを伝えられない。
一方で、隣接している「Web2.0マーケッティングフェア」の方は非常に展示が分かりやすかった。マーケティング主体なだけに、伝え方がうまい。ESECの方はほとんどの会社が会社名を大きな字で展示しているのに大してWeb2.0マーケティングフェアの方は「何を伝えたいのか」をメインに展示していました。
また、いわゆるIBM PC ATアーキテクチャのPCベースの小さ目のマザーボードを組込み機器として扱っていますが、私の分類では組込み機器ではありませんので、ここでは採り上げません。普通のマスコミでのESECレポートでこの分類のものを採り上げていますが、裏を返せば他に何もレポートすべきものがなかったということです。
あえて、一番面白かった展示を挙げるとすれば、IPAのブースでしょうか。未踏ソフトウェア系の試みで小さなソフトウェア開発会社がアイディアの面白いソフトウェアの成果を発表していました。
なお、説明員は絶対にネクタイを締めたスーツ姿は避けるべきです。そのブースに入りたくなくなりますから。そんな基本的な展示会戦略が出来ていない会社が多いのもESECの特徴かもしれません。
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