Canon PowerShot G16での天体写真撮影実験2013年10月13日 23時57分17秒

Canon PowerShot G16には星空撮影用のモードが備わっていますが、そのモードを使わずにマニュアルモードで撮影テストをしてみました。

■総括
無限遠∞でのピント合わせが非常に難しくシャープな星の写真は望めません。その点で言えばリコーのGR/GRD4などの無限遠ピントはあらかじめプリセットしてありメーカ出荷時にある程度の深度範囲調整済みであり、ピントが合わないということにはなりません。ピントが甘い場合にはメーカで調整もしてくれます。
リコーGRの出荷時無限遠ピント不良のピントは甘いといってもG16とは比較になりません。比較するとピント不良のGRでさえ、十分にシャープであることが分かります。

また、マニュアルモードでの長秒露出が現実的には30秒までしか使えず、天体写真向きではありません。星空軌跡や星空夜景モードでもプリセットしてある無限遠に調整されますが、ごまかしてあるので星像は「甘い」。

MFの使い勝手がとにかく、非常に悪い。
ピント合わせて撮影してピントを微調整するなどということが現実的には不可能です。撮影して画像再生して再び撮影しようとするとMFでの撮影距離が勝手に5m程度の部分にリセットされます。再生モードにしなければそのようなことにはなりませんが、再生モードでピントの確認しないと調整も出来ないわけで、もう、ほんと、キヤノンのコンデジ開発部隊は馬鹿しかいないのだと思います。プリセット出来るようにしろ、とまでは言いませんが、せめて前回調整部分を覚えておいて戻すくらいはやって欲しいです。
MFピーキング表示も範囲が広いため現実的には使い物になりません。

光学ファインダーが使えることを期待したのですがまるで使い物にならない。代わりに、液晶画面で星が比較的確認できます。MFピーキングも赤い設定にしておくと星が見やすく、構図も決められます。

個人的には星空夜景モードは使い物にならないし、星空軌跡モードもリコーGR/GRD4のインターバル合成の方が圧勝です。使い勝手がまるで違う。GR/GRD4の方はインターバル合成の途中経過画像を全て保存しておくことも出来ますがG16は出来ません。

なお、現実的に30秒までしか使えない、とは、マニュアルモードであるにもかかわらず、40秒以上のシャッター速度を設定すると勝手にISO感度が80に固定されるからです。これもリコーと比べるとお話になりません。リコーはマニュアルモードはどんな設定も可能です。そもそもマニュアルモードとはそういうモードです。キヤノンコンデジ部隊がEOS部隊とは全く異なる部隊であることはわかりますが、写真用語から勉強して欲しいです。

とは言え、マニュアルモードでは望遠側での撮影も可能であり、これはGR/GRD4では真似ができません。
赤い散光星雲にも少しは対応できます。

■撮影機材と共通項目

特に断りのない限り共通項目は以下です。
・アイベルCD-1と自作コントローラで恒星時追尾
・マニュアルモードで撮影
・JPEG撮って出し
・サイトの制限で2MB以下のサイズになるようにリサイズ
・ホワイトバランス太陽光
・当日は月明かりがあり、微光星までは写りにくい状況
・撮影場所はみずがき山自然公園


■ピンボケ注意
無限遠マークに漠然と合わせてもピントは合いません。なんか、調整不良のような気がします。調整クリック部分でシャープに合う部分も結局見つけられませんでした。調整ステップが広角では特に荒すぎるのです。
∞マークからその先にもピント位置が調整できますが、調整度合いは全く分かりません。指標バーが∞マークに達してからの前後のクリック数で覚えて試行錯誤するしかありません。感覚的には一度星空夜景モードに設定してからマニュアルモードに設定した時と最初からマニュアルモードで設定した時のピントが違うような気がします。

以下夏の大三角形のピンボケ写真、∞にあわせてます。最初からマニュアルモードで撮影しました。
2013年10月12日 19時08分52秒、ISO1600、6.1mm F1.8 30秒。
ピンボケ写真

以下は星空夜景モードでの撮影。ピントがそもそも甘いし何らかの画像処理をしている感じて解像度も非常に悪い。星の強調モードはOFFにしています。
2013年10月12日 19時06分27秒 ISO800 6.1mm F1.8 15秒
星空夜景モードでの夏の大三角形

■広角側での撮影
無限遠ピントがシャープに決められません。

月明かりで邪魔されている夏の大三角形と天の川
2013年10月12日 22時06分05秒 ISO1600 6.1mm F1.8 30秒

はくちょう座からカシオペア座にかけての天の川。
2013年10月13日 0時29分41秒 ISO3200 6.1mm F1.8 30秒


■望遠側での撮影
広角側ではピントの甘さが顕著ですが望遠側だと比較的追い込めます。
広角側での調整ステップが荒すぎなのが問題で被写界深度に頼りすぎたからだと思います。

M31です。
2013年10月12日 21時22分15秒 ISO3200 30.5mm F2.8 30秒
望遠端でのM31

北アメリカ星雲。
2013年10月12日 23時33分02秒 ISO3200 30.5mm F2.8 30秒

カリフォルニア星雲
2013年10月12日 23時53分13秒 ISO3200 30.5mm F2.8 30秒

山の稜線から昇るオリオン座。
2013年10月12日 23時58分56秒 ISO3200 30.5mm F2.8 30秒

プレアデス星団。
2013年10月13日 0時08分36秒 ISO3200 30.5mm F2.8 30秒

ばら星雲。
2013年10月13日 1時58分16秒 ISO3200 30.5mm F2.8 30秒

オリオン座中心部
2013年10月13日 2時8分39秒 ISO3200 30.5mm F2.8 30秒
RAWデータに対して色温度、シャープネス、周辺光量、トーンカーブなど調整

■星景撮影
景色が入ると広角側でのピントの甘さが余り目立ちません。

月明かりで照らされるみずがき山と昇るおうし座。
2013年10月12日 21時33分43秒 ISO3200 6.1mm F1.8 30秒。明るさ調整。
みずがき山から昇るおうし座

星空夜景モードでの撮影。
2013年10月12日 21時36分14秒 ISO800 6.1mm F1.8 15秒。
明らかに画像処理で星の数が激減していて山の紅葉部分の色も消えてる。

星空夜景モードでは画像処理が強いのでマニュアルモードでISO800での撮影。2013年10月12日 21時42分18秒 ISO800 6.1mm F1.8 30秒
こっちの方が細かい部分まで写っていてノイズも余り気にならないです。

山の稜線から昇るオリオン座。
2013年10月13日 0時25分46秒 ISO3200 6.1mm F1.8 30秒

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