人を活かす経営2006年11月29日 21時33分48秒

新しい事業を自分ひとりの力で立ち上げる人間は尊敬に値するし、真の起業家であるとは思います。 しかし、その能力と同時に経営する能力が長けている人物はどれくらいいるのでしょうか?

企業を運営するためにはいろいろな人の助けを借りなければいけません。どちらかといえば社外のパートナーになれる会社、経営者よりもその企業の社員に対してどう接するかの方に力を入れるべきだと思います。優れたアイディアや優れた技術力があったとしてもそれを大衆である社員を使ってどう事業をドライブさせるか、それはそれで別の能力が必要になるのでしょう。

会社の経営方針を明確にし、それぞれの社員の所属する部署の方針決定、その方針、目標を達成させるために社員をどのように動かすか、これは経営者の仕事です。 単なる売上目標などの金勘定しかしないのは経営方針ではなく営業方針です。それは営業部長でもなく、営業課長がたたき台を作ればいい話。

自分がお客さんの所に行き、忙しく振舞っていることを「仕事をしている」と勘違いしている経営者がいますが、それは経営者の仕事をしているとは言えません。単なる営業社員です。 逆に技術的なことにしか関心を持たず、顧客の使い勝手や品質をないがしろにして、自分の技術に酔いしれていい気になることも経営者としての仕事をしているとは言えません。

営業畑の経営者は金勘定で、技術畑の経営者は開発能力で社員の能力や成果を推し量ろうとします。それしか判断基準を知らない無知な人間だからです。その結果、成果という名のもとに社員の給与を決定することに疑問を持ちません。成果主義の誤った運用です。

それぞれがそれぞれの領域で自分の不得意分野を専門的な社員に任せられるのであれば、それは人を有効活用していて会社として機能していると言えますが、営業畑の人間が技術者の判断に金勘定基準で制限を加えたり、アイディアだけを持っている人間がその実現能力のある人間の意見を聞かずに勝手に強権を実行する。社員を有効活用していないし、会社としても機能していない。

会社を機能させるためには他社(者)優先で仕事を片付け、割り振った仕事は任せて自分は他のことに注力する。任せた仕事は細かいチェックなどせず、少々の失敗に目くじらを立てず、目先の収支だけを考えて判断をせずにどこに投資してどのように会社の収益を上げるかに注力して経営を行う。社員に投資するか社員を消費するか。このようなことを何かの本で読みましたが、まさにそのとおりだと思います。